AI時代のビジュアル制作フロー|撮影と生成AIの役割分担

AI時代のビジュアル制作フロー|撮影と生成AIの役割分担 | 杉山宣嗣

ビジュアル制作の工程はAIによってどう変わっているのか

広告、EC、SNSなどのビジュアル制作では、AI画像生成が制作工程の一部として使われ始めています。

ただしここで誤解されやすいのが、
「AIが写真撮影を置き換えるのか」という議論です。

実際の制作現場を見ると、起きている変化はもっと構造的です。

AIが変えているのはビジュアル制作の工程です。
撮影そのものが消えているわけではなく、

  • 企画
  • コンセプト検討
  • 素材制作
  • バリエーション制作
  • ポストプロダクション

といった工程の中で、AI画像生成が新しいツールとして組み込まれているのです。

この記事では、従来のビジュアル制作フローを整理しながら、AI導入によってどの工程が変化しているのかを解説します。


従来のビジュアル制作フロー

まず、従来のビジュアル制作がどのような工程で進んでいたのか整理しておきましょう。

広告やブランドビジュアル制作は、基本的に次の流れで進みます。

1 企画・コンセプト設計

最初に行うのは

  • ブランドコンセプト
  • 商品価値
  • 表現方向

の設計です。

この段階で

  • ビジュアルの世界観
  • 撮影方向
  • クリエイティブトーン

が決まります。

つまりビジュアル制作は撮影から始まるわけではありません。


2 ビジュアル設計

コンセプトが決まった後、具体的なビジュアル設計を行います。

ここでは

  • 構図
  • ライティング
  • カラー
  • スタイリング
  • ロケーション

などを決めます。

従来はこの段階で

  • ラフスケッチ
  • 参考写真
  • ムードボード

などを使って方向を共有していました。


3 素材制作(写真撮影)

ここで初めて写真撮影が行われます。

例えば

  • 商品撮影
  • 人物撮影
  • ロケーション撮影

などです。

撮影はビジュアル制作の中心的工程でした。


4 ポストプロダクション

撮影後は

  • レタッチ
  • 合成
  • 色調整

などを行い、最終ビジュアルを完成させます。


5 バリエーション展開

完成したビジュアルを

  • SNS
  • EC
  • 広告
  • Web

などに展開します。

サイズ変更や構図調整などもこの段階で行われます。


AI導入で変化している制作工程

AI画像生成が導入されることで、特に変化しているのが次の工程です。

コンセプト検討

AI画像生成はビジュアルの試作を高速に作れるため、コンセプト検討の段階で使われるケースが増えています。

例えば

  • 世界観の検討
  • ビジュアル方向
  • 色や構図のテスト

などです。

これまでムードボードや参考写真で共有していたものを、AIで仮ビジュアルとして作ることができます。


素材制作

素材制作でもAI画像生成が使われるケースがあります。

例えば

  • 背景生成
  • イメージカット
  • コンセプトビジュアル

などです。

ただし、

  • 実在人物
  • 商品実物
  • 現場性

が必要な場合は写真撮影が必須になります。

そのため実務では、

撮影とAI生成を組み合わせる制作が増えています。


バリエーション制作

AI導入で最も変化しているのがバリエーション制作です。

例えばECやSNSでは

  • 構図違い
  • 背景違い
  • カラー違い
  • 季節演出

などのビジュアルが必要になります。

従来は

  • 追加撮影
  • 合成制作

が必要でした。

現在はAI画像生成によって

短時間で大量のバリエーション制作が可能になっています。


ポストプロダクション

ポストプロダクションでもAIの活用が広がっています。

例えば

  • 背景拡張
  • 合成補助
  • オブジェクト追加
  • レタッチ補助

などです。

これにより制作スピードが大きく変わっています。


実際の制作現場で増えているハイブリッド制作

現在の制作現場では、次のようなハイブリッド制作が増えています。

人物は撮影、背景はAI

人物は写真撮影し、背景はAI生成で制作する方法です。

広告やSNSビジュアルでよく使われます。


商品は撮影、演出はAI

商品は実物撮影し、

  • 光演出
  • 空間演出
  • コンセプト背景

などをAIで制作するケースです。

ECビジュアルで増えています。


撮影素材+AIバリエーション展開

撮影した素材をベースに、AIで

  • 構図変更
  • 背景変更
  • 季節演出

を作る方法です。

SNSや広告バリエーション制作で使われています。


フォトグラファーの役割はどう変わるのか

AI導入によってフォトグラファーの役割も変わっています。

特に重要になっているのが次の3つです。

ビジュアル設計

AI画像生成は画像を作れますが、どんなビジュアルを作るのかは決めません。

  • ブランドトーン
  • 世界観
  • コンセプト

を設計する能力が重要になります。


撮影判断

制作の中で

  • 撮影すべきか
  • AI生成で成立するか

を判断する能力です。

これは制作経験があるフォトグラファーの強みになります。


制作ディレクション

AIと撮影を組み合わせる制作では

  • ビジュアル管理
  • 制作統一
  • 品質判断

が重要になります。

ここでもフォトグラファーの役割は大きくなります。


まとめ|AI時代のビジュアル制作は工程で考える

AI画像生成の登場によって、ビジュアル制作は確実に変化しています。

ただし重要なのは、撮影が消えているわけではないという点です。

変化しているのは制作工程です。

現在のビジュアル制作は

  • コンセプト設計
  • 写真撮影
  • AI画像生成
  • 編集
  • 展開

を組み合わせる構造になっています。

つまりAI時代の制作では

撮影とAIをどう役割分担するか

が重要になります。

この視点で制作を考えると、AI画像生成は写真撮影の代替ではなく、ビジュアル制作を拡張するツールとして理解できます。


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