
僕が書いた野町和嘉さんの写真展を拝見した感想記事について、それを読んでくださった方からメッセージをいただきました。
「私はあなたのブログを読んで、あなたの書いた文章に圧倒されました。同業者の仕事を誉め、そこから学ぼうとする姿勢がとても好きです」
正直なところ、思いついたことをそのまま書いただけなんです💦
嫉妬と敬意
僕はこれまで、商業写真を中心に撮ってきました。
だからこそ、野町さんのように、長い時間をかけて一つのテーマと向き合い続けてきた写真家に対して、正直なところ嫉妬を覚えます。
もっと若い頃に、そういう写真の在り方に気づいていたらよかったのになあ、と思うこともあります。
一方で、今でもずっと心の中に引っかかっている疑問があります。
こういう写真は、どうやってお金になるのか?
それは、
こういった写真を撮り続けてきた人たちは、どうやってそれをお金に変えてきたのか
ということです。
新聞社や出版社の社員として撮影に行くのであれば、お金の出所は比較的わかりやすい。
取材費もギャラも、組織が用意してくれるからです。
でも、フリーの写真家として現場に行き、写真を撮り続け、それをどうやって収入にしてきたのか…
僕には、その仕組みがいまひとつ見えていません。
僕自身の仕事のやり方
というのも、僕の場合、何かをやるときには必ず企画が先にあり、商業的なスポンサーがついた状態で撮影をしてきたからです。
雑誌や広告の仕事は、基本的に依頼主からのオーダーで撮影しています。
一方で、写真展や写真集になるような題材の場合は、
「こういった企画の写真集を出したいのですが」と、仕事関係の人に売り込むところから始まったものが多いです。
ただし、こうした写真集や写真展が、それだけで食べていけるほどの収入になったかというと、実はそうではありません。
写真集は儲かるのか?
タレント写真集のように、
初めから発行部数が多く、印税や条件が明確なものの場合、
3日〜1週間の撮影で100万円以上が提示されることが多くありました。
さらに、その写真集の紹介という形で別の雑誌に掲載される場合、
それぞれの媒体から使用料として原稿料が支払われます。
特に、かつてのグラビア系雑誌では1ページ3万円以上の支払いがあり、
5ページ×3万円が、複数誌からボーナスのように入ることもありました。
しかし、いわゆる作品集に近い写真集の場合、
印税は発行部数 × 販売価格の5〜10%程度になることがほとんどです。
僕の場合、企画が通ってから撮影に入ることが多かったため、制作費を出版社に出していただき、赤字になることはありませんでした。
ただし、自分で先に撮影したものが後から写真集になる場合は、
当然、取材費や渡航費はすべて自腹です。
写真展という「発表の場」
商業施設での写真展
商業施設(デパートなど)で開催する写真展は、イベント会場を使用するため、かなり大きなスペースになります。
写真点数も多く、大きなサイズの作品を展示するため、制作費はどうしても高額になります。
また、会場を写真展用の特別な空間として施工する必要があり、その分の費用もかかります。
商業施設側の予算だけで賄うのが難しい場合も多く、協賛企業を付けなければ成立しません。
いくらかの報酬をいただくこともありますが、基本的には自身のパブリシティにつながる仕事でもあるため、
「いただけるだけありがたい」という感覚で受け止めています。
メーカーギャラリー・有料ギャラリーの場合
カメラメーカーなどのギャラリーで開催する場合は、審査を経ての開催となり、
会場費や、各地を巡回する場合の梱包・輸送費などは負担してもらえることが多いです。
ただし、展示作品そのものの制作費は、ほぼ自費になります。
僕の場合は、ほとんどのケースで協賛が付いています。
また、有料ギャラリーの場合、ギャラリー企画展として開催されるケースを除き、
スペースの使用料と展示作品の制作費の両方を、自身で負担しなければなりません。
ドキュメンタリー写真家は、どうしているのか?
だからこそ、ドキュメンタリー写真家や写真作家の方々について、こんな想像をしてしまいます。
- この取材をすれば
- ここに持ち込めば
- 買い取ってもらえるだろう
そういった出口をある程度見据えた上で、
取材費を先に出してくれる通信社や新聞社、雑誌社を把握し、
「これは仕事になる」と分かった状態で撮影しているのではないか、と。
これはあくまで僕の想像にすぎず、事実かどうかはわかりません。
ただ、それでも完全な後ろ盾があるわけではありません。
事件やトラブルに遭遇しても、日本政府以外からの援助は期待できないケースも多いのかもしれません。
なぜ、この疑問を書こうと思ったのか
ドキュメンタリーや写真作家の方々が、
実際にどうやって生計を立てているのか──
僕は、正直よく知りません。
だからこそ、WEB上の情報やインタビュー記事などを調べながら、
写真家は、理想と現実のあいだで、
どうやって「仕事」と「表現」を両立してきたのか
そんな視点で、追記する形の記事を書いてみようと思います。
これは答えを出すための記事ではなく、
同じ疑問を持つ人と一緒に考えるための、覚書のようなものです。


