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始点と終点の実写画像
AI動画制作で発生する30fps問題の備忘録
近年、動画生成AIの進化は非常に速くなっており、専門的な映像制作スキルがなくても高品質な動画を制作できるようになった。
なかでも最新の「Kling AI 3.0」では、最高峰の物理演算とネイティブ4K・60fps出力を誇る最上位クラス「Kling 3.0 Omni(オムニ)」が登場したことにより、かつての主力だった「動画 2.5 ターボ」は、今や良い意味で低コストな廉価版(下位クラス)という立ち位置になりました。
もちろん、資金を惜しまずに最上位の「Omni」を使えば一番良いのですが、SNS投稿などの用途であれば、消費クレジットを大幅に抑えながら1080p・5秒の動画を作れる「動画 2.5 ターボ」のコスパは最強です。AI動画の生成は一発で思い通りの映像が出るとは限らないため、「コストを抑えて、納得がいくまで何度も作り直せる(ガチャを回せる)」という意味でも、あえてこの廉価版を選ぶメリットは非常に大きいと言えます。
そして、このコスパ優秀な廉価版モデルにおいて、特に実用性が高いのが以下の生成方法です。
- 映像の「最初の画像(始点)」を指定する
- 映像の「最後の画像(終点)」を指定する
- その間(2つのカットの間)をAIに自動で補完させる
という生成方法。
この手法は、
- 構図をコントロールしやすい
- 被写体位置を固定しやすい
- カメラワークを誘導しやすい
- シネマティックな演出を作りやすい
という特徴があり、思い通りの映像を作りやすい。
しかし、この生成方法には明確な弱点がある。
コストパフォーマンスを重視した動画生成モデルの多くは、標準フレームレートが30fpsである。
30fpsとは1秒間に30枚の画像で構成される映像のこと。
生成された5秒動画をそのままPremiere Proで10秒に引き伸ばしてスローモーション化すると、本来必要なフレーム数が不足する。
その結果、
- ガタガタする
- カクカクする
- 動きが飛ぶ
- 映画的な滑らかさが失われる
といった問題が発生する。
特にAI動画では、
- 髪の毛の揺れ
- 人物の動作
- 手や指の動き
- インテリアの奥行き
- 背景の回り込み
- カメラ移動
などで違和感が目立ちやすい。
そこで採用するのが、
AI側では低コストに映像を生成し、不足するフレームはPremiere Pro側で補完する
という考え方。
Premiere Proのオプティカルフローを利用することで、30fps素材を滑らかな60fpsスローモーション映像へ変換できる。
全体ワークフロー
実際の作業は以下の流れ。
1. 新規プロジェクトを立ち上げる
Premiere Proで編集環境を作る。
2. 5秒のAI動画素材をタイムラインへ配置する
生成した動画を読み込む。
3. タイムラインを60fpsへ変更する
編集の土台を60fpsへ変更する。
4. 動画速度を50%へ変更しオプティカルフローを適用する
不足フレームをPremiere Proに生成させる。
5. レンダリングを実行する
補完フレームを計算させる。
ステップ1:新規プロジェクト作成と素材配置
まずPremiere Proを起動する。
編集を行うための土台となるプロジェクトを作成する。
作業手順
- Premiere Proを起動する
- スタート画面に表示される青色の「新規プロジェクト」をクリックする
- 左上でプロジェクト名を入力する
- 右下の「作成」をクリックする
※この段階では素材を選択しなくても問題ない。空の状態で作成する。
- 編集画面が開いたら、AIで生成した1080p・5秒の動画素材をプロジェクトパネルへドラッグ&ドロップする
- 読み込んだ動画をタイムラインパネルへドラッグ&ドロップする
これで動画素材がタイムライン上へ配置される。
ステップ2:タイムライン設定を60fpsへ変更する
動画を配置した直後は、タイムライン設定が素材に合わせられている。
そのため、
- 30fps
- 24fps
などになっている場合が多い。
しかし今回の目的は60fpsスローモーション映像の制作なので、編集の土台となるシーケンス自体を60fpsへ変更しておく。
作業手順
- 画面上部の「シーケンス」をクリックする
- 「シーケンス設定」をクリックする
- 設定ウィンドウを開く
- 「タイムベース」を確認する
- ドロップダウンメニューを開く
- 以下のどちらかを選択する
- 59.94fps
- 60fps
- OKを押す
途中で
「プレビューファイルが削除されます」
という警告が表示されても問題ない。
そのままOKで進める。
これで編集環境そのものが60fps基準になる。
ステップ3:動画を10秒へ伸ばしオプティカルフローを適用する
ここが最重要工程。
動画を単純に引き伸ばすのではなく、不足するフレームをAI補完させる。
作業手順
- タイムライン上の動画クリップをクリックして選択する
選択状態になるとクリップが白っぽく反転表示される。
- メニューバーの「クリップ」をクリックする
- 「速度・デュレーション」を選択する
- 設定画面で以下を変更する
速度
50%
これにより5秒動画が10秒へ延長される。
補間(時間補間)
オプティカルフロー
を選択する。
- OKを押す
これで不足するフレームをPremiere Proが生成する準備が完了する。
オプティカルフローについての備忘録
オプティカルフローとは、
前後フレームの動きを解析し、その間に存在するはずだった中間フレームを生成する機能。
具体的には、
1枚目のフレームと次のフレームを比較する
↓
被写体の動きを解析する
↓
途中にあるはずの映像を予測する
↓
存在しないフレームを生成する
という処理を行う。
これによって、
- 人物の動き
- 髪の毛の揺れ
- 布の動き
- 背景移動
- カメラワーク
などが自然につながる。
スローモーション化によって不足するフレームを補うため、映像の滑らかさが大幅に向上する。
ステップ4:レンダリングを実行する
オプティカルフローを設定しただけでは処理は完了していない。
タイムライン上部を見ると赤いバーが表示される。
これは、
「まだ補間フレームの計算が終わっていない状態」
を意味している。
そのため最後にレンダリングを実行する。
作業手順
- メニューバーの「シーケンス」をクリックする
- 「インからアウトをレンダリング」をクリックする
- 処理完了まで待つ
- 進行バーが100%になるまで待機する
処理が完了すると赤いバーが緑色へ変化する。
これでオプティカルフローによるフレーム生成が完了する。
レンダリング後の状態
レンダリング後に再生すると、
元々30fpsだった映像が、
まるで最初から高フレームレートカメラで撮影したような滑らかな映像へ変化する。
改善しやすい要素としては、
- 髪の毛の揺れ
- ドレスや衣装の動き
- 人物の移動
- カメラのパン
- カメラのドリー
- 背景の回り込み
- インテリア表現
など。
AI動画特有のカクつきや違和感を軽減できる。
書き出し時の備忘録
編集完了後は動画を書き出す。
書き出し手順
ファイル
↓
書き出し
↓
メディア
を選択する。
この際に必ず確認する項目がある。
フレームレート
- 60fps
- 59.94fps
になっていることを確認する。
ここが30fpsのままだと、せっかく生成した補間フレームが十分に活用されない。
最終出力まで60fpsを維持する。
まとめ
Kling AIの「動画2.5ターボ」のような高効率モデルは、低コストで高品質な動画を生成できる。
一方で30fps素材をそのままスローモーション化するとフレーム不足によるカクつきが発生する。
その対策として、
- シーケンスを60fpsへ変更
- 速度を50%へ変更
- オプティカルフローを適用
- レンダリングを実行
- 60fpsで書き出し
というワークフローを利用する。
AI生成側でコストを抑えながら、Premiere Pro側で映像品質を最大化する。
この考え方は今後のAI動画制作において非常に有効な手法となる。
特に、
- 髪の毛の揺れ
- 人物表現
- インテリア映像
- シネマティック演出
- 背景の回り込み
を美しく見せたい場合に有効。
AI動画を実用レベルのスローモーション映像へ仕上げる際の基本ワークフローとして記録しておく。


